406 名前:VIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/11/20(日) 17:54:57.55 ID:ayDQx6rg0
5日前と同じように雪が降る寒い夜の事だった。
車通りの少ない国道で愛車のクラシックカーを走らせていた。
「ペンネーム、中年隊さんからのメッセージです!
『母へ。私が大学に合格した時に一緒に泣いて喜んでくれたね。
あの時の感謝は今でも忘れません。あの時にお母さんが買ってくれたCDです。あ、私就職決まったよ。』
素晴らしい娘さん!リクエスト曲は安室奈美恵で…」
一人で車に乗る時はだいたいラジオを付けているが、今日もそうだった。
ほとんど内容が耳には入って来なかった。
彼女とドライブする時は尾崎豊を流し、二人で出会った頃や青春の思い出話をするのが日常だった。
いつもは「おい」とか「ねぇ」と呼び合う俺たちもその時は当時のあだ名で呼び合った。
「続いてはペンネーム、王様の耳はロベルトの耳さんからのリクエスト!
『友達と大喧嘩したり彼女にフラれたり仕事でミスをしたりして落ち込んでる時に俺を励ましてくれます。
この曲がなければ今の俺はなかったと思う。月曜日の朝は必ず聴いてから出勤します。』
さ?どんどん行くよ?!曲は爆風スランプで…」
途中で花屋に寄って花を買った後も、キャンセルしたレストランに謝りに行った後も、
オーダーメイドで頼んでおいた指輪を受け取った後も、俺が車に戻ると相変わらずラジオは独り言をしゃべっていた。
目的地が近付いて来た。あと10分程で到着だろうか。
途中で三件寄り道したり、雪道の運転に気を使い過ぎたりしたせいなのか眠くなって来た。
「ペンネーム、ゆかりんさんからの熱いメッセージ!
『ケンちゃんへ。今日は付き合って5年の記念日だね。これを聴いてる時にはもう一緒にいるのかなぁ。
サプライズってどこに連れてってくれるの?何か悔しいから私からもサプライズね。愛してるよ、ケンちゃん』
ひゅーひゅー!さてリクエスト曲は尾崎豊で…」
目的地に着いた。花と指輪を置いた。心は温かいが涙が凍りそうだ。
俺は車に戻り、ラジオのボリュームを少し上げた。
5日前と同じように雪が降る寒い夜の事だった。
車通りの少ない国道で愛車のクラシックカーを走らせていた。
「ペンネーム、中年隊さんからのメッセージです!
『母へ。私が大学に合格した時に一緒に泣いて喜んでくれたね。
あの時の感謝は今でも忘れません。あの時にお母さんが買ってくれたCDです。あ、私就職決まったよ。』
素晴らしい娘さん!リクエスト曲は安室奈美恵で…」
一人で車に乗る時はだいたいラジオを付けているが、今日もそうだった。
ほとんど内容が耳には入って来なかった。
彼女とドライブする時は尾崎豊を流し、二人で出会った頃や青春の思い出話をするのが日常だった。
いつもは「おい」とか「ねぇ」と呼び合う俺たちもその時は当時のあだ名で呼び合った。
「続いてはペンネーム、王様の耳はロベルトの耳さんからのリクエスト!
『友達と大喧嘩したり彼女にフラれたり仕事でミスをしたりして落ち込んでる時に俺を励ましてくれます。
この曲がなければ今の俺はなかったと思う。月曜日の朝は必ず聴いてから出勤します。』
さ?どんどん行くよ?!曲は爆風スランプで…」
途中で花屋に寄って花を買った後も、キャンセルしたレストランに謝りに行った後も、
オーダーメイドで頼んでおいた指輪を受け取った後も、俺が車に戻ると相変わらずラジオは独り言をしゃべっていた。
目的地が近付いて来た。あと10分程で到着だろうか。
途中で三件寄り道したり、雪道の運転に気を使い過ぎたりしたせいなのか眠くなって来た。
「ペンネーム、ゆかりんさんからの熱いメッセージ!
『ケンちゃんへ。今日は付き合って5年の記念日だね。これを聴いてる時にはもう一緒にいるのかなぁ。
サプライズってどこに連れてってくれるの?何か悔しいから私からもサプライズね。愛してるよ、ケンちゃん』
ひゅーひゅー!さてリクエスト曲は尾崎豊で…」
目的地に着いた。花と指輪を置いた。心は温かいが涙が凍りそうだ。
俺は車に戻り、ラジオのボリュームを少し上げた。