578 名前:本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2009/03/15(日) 18:11:04 ID:TT+WcdxM0
「猿の生き肝」
昔、竜宮城の竜神の奥方が病になり、日を追うごとに悪くなった。
竜神は海中の魚を呼び集め、妻の病に効く薬を知らないか尋ねた。
メ―バイという物知りの魚が進み出た。
「奥方様の病には猿の生き肝が何よりで御座います」
使いとして亀と鮫が選ばれた。
猿が島では、のんびりと猿が柿の木に登り、実を食べていた。
亀が話しかけた。「お猿さん、その柿の実は美味しいけれど、私どもがお仕えしている竜宮には、その千倍も美味しい木の実がありますよ」
鮫も話しかけた。「ああ、そうだよ。それはそれは美味しくて、ほっぺたが落ちるような木の実だよ」
猿はそんなにも美味しい木の実の話を聞かされて、食べたくて仕方がなくなった。
「そんなに美味しいのなら、是非食べてみたいものだ。どうだろう、自分を竜宮に連れてってくれないか?」
亀と鮫は猿を背中に乗せ、(しめしめ、うまくいった)と力の限り竜宮に急ぎました。
竜宮城の門をくぐったところで、門番のタコが呟いた。
(やれやれ気の毒に。生き肝を取られるとも知らないで)
猿は慌てて、亀と鮫に云った。
「おやおや、自分の生き肝がいるのだったら、なぜもっと早く云ってくれないのです」
え、と訝る亀と鮫に「今日は天気が良かったので、生き肝は柿の木の枝につるして干してあるのです」
生き肝を持っていないのではしょうがない、と亀と鮫は猿を元の島に送り届けました。
そして「お猿さん、早く、早く、竜王さまがお待ちかねですよ。早く生き肝を採ってきてください」
と代わる代わる呼びかけた。
猿はスルスルと柿の木のてっぺんまで登ると
「生き肝はやれないよ。これでも喰らえ」と大きな石を亀と鮫に向かって投げつけた。
石は亀の甲羅にぶつかり、沢山のひびが入った。
亀の甲羅がひびだらけなのはそれ以来だ。
鮫の頭もその時ぶつけられた石のために平べったくなった。
門番のタコは余計な口を利いた罪で、竜宮の魚たちから寄ってたかって臼に入れられ、体中の骨がクニャクニャになるまで挽かれた。
アバサーがハリセンボンと呼ばれるほど体中骨だらけなのは、その時タコから取り上げた骨を身につけているからだと云う。
沖縄県八重山郡波照間島の昔話より
「猿の生き肝」
昔、竜宮城の竜神の奥方が病になり、日を追うごとに悪くなった。
竜神は海中の魚を呼び集め、妻の病に効く薬を知らないか尋ねた。
メ―バイという物知りの魚が進み出た。
「奥方様の病には猿の生き肝が何よりで御座います」
使いとして亀と鮫が選ばれた。
猿が島では、のんびりと猿が柿の木に登り、実を食べていた。
亀が話しかけた。「お猿さん、その柿の実は美味しいけれど、私どもがお仕えしている竜宮には、その千倍も美味しい木の実がありますよ」
鮫も話しかけた。「ああ、そうだよ。それはそれは美味しくて、ほっぺたが落ちるような木の実だよ」
猿はそんなにも美味しい木の実の話を聞かされて、食べたくて仕方がなくなった。
「そんなに美味しいのなら、是非食べてみたいものだ。どうだろう、自分を竜宮に連れてってくれないか?」
亀と鮫は猿を背中に乗せ、(しめしめ、うまくいった)と力の限り竜宮に急ぎました。
竜宮城の門をくぐったところで、門番のタコが呟いた。
(やれやれ気の毒に。生き肝を取られるとも知らないで)
猿は慌てて、亀と鮫に云った。
「おやおや、自分の生き肝がいるのだったら、なぜもっと早く云ってくれないのです」
え、と訝る亀と鮫に「今日は天気が良かったので、生き肝は柿の木の枝につるして干してあるのです」
生き肝を持っていないのではしょうがない、と亀と鮫は猿を元の島に送り届けました。
そして「お猿さん、早く、早く、竜王さまがお待ちかねですよ。早く生き肝を採ってきてください」
と代わる代わる呼びかけた。
猿はスルスルと柿の木のてっぺんまで登ると
「生き肝はやれないよ。これでも喰らえ」と大きな石を亀と鮫に向かって投げつけた。
石は亀の甲羅にぶつかり、沢山のひびが入った。
亀の甲羅がひびだらけなのはそれ以来だ。
鮫の頭もその時ぶつけられた石のために平べったくなった。
門番のタコは余計な口を利いた罪で、竜宮の魚たちから寄ってたかって臼に入れられ、体中の骨がクニャクニャになるまで挽かれた。
アバサーがハリセンボンと呼ばれるほど体中骨だらけなのは、その時タコから取り上げた骨を身につけているからだと云う。
沖縄県八重山郡波照間島の昔話より