179 水先案名無い人 sage 2007/11/03(土) 21:56:52 ID:qQmVwhM+0
 水銀「銀!」
 銀 「…うそ!?」
 水銀「驚いた? ウフフ…驚くに決まってるわね あんなことがあったのだから」
 銀 「どうして…」
 水銀「私、やっぱり金属だったの 科学者が認めてくれた
    見て! 自由電子もここに!」
 銀 「そんな…そんなこと」
 水銀「今度こそ胸を張って言えるわ 私は水銀、原子番号80の金属元素 よろしくね銀♪」
 銀 「うそよ、あなたが金属だなんて…そんなこと」
 水銀「どうして?」
 銀 「だってあなたは常温で液体じゃない… 掴み所の無いかわいそうな物質…
    金属は延性、展性を持つ常温で固体の物質、あなたは…私たちとは違う」
 水銀「…やっぱりそうなの 私のこと、ずっとそう思っていたんでしょう
    自分とは違うかわいそうな物質だと 」
 銀 「それは…」
 水銀「無機水銀や有機水銀を作ったことも水俣病で有名にさせてくれたことも
    私を哀れんでいただけ 上から見下ろして満足していたんでしょう」
 銀 「違う…」
 水銀「自分が金属だと…自分こそが陰イオンに愛されていると
    そう思って私を笑っていただけなんでしょう」
 銀 「それは違うわ… 違う… 私は…」
 水銀「うるさい! …嫌な物質。少しばかり違う状態でうまれただけなのに
    たまたま液体で生まれただけなのに…
    私の存在なんて、あなたにとっては自分の名前の二番煎じに過ぎなかった 」
 銀 「違うわ! 私はせめて、名前だけでもあなたが金属っぽくなるようにと思って…」
 水銀「それが私を馬鹿にしているといっているのよ!
    私を金属と認めてくれてなかった!」
 銀 「…だってあなたは!」
 水銀「あなたみたいな元素、化合物になれるわけがない!
    化合物になるのは…私 誰よりも陰イオンを愛しているこの私…
    化合物になって陰イオンに抱きしめてもらうの… 私にくっついてもらうの…」


180 水先案名無い人 sage 2007/11/03(土) 21:58:56 ID:qQmVwhM+0
 (水銀、銀を硫黄に突き落として自分も飛び込む)
 銀 「? …あっ!」
 水銀「あなただけが陰イオンに愛された?」
 銀 「離して!」
 水銀「熱され 溶かされ 化合物になることができる?
    そんな幻想…打ち砕いてあげる!  陰イオンが愛してるのは…」
 (水銀と銀を乗せた皿が熱せられ始める)
 銀 「やめて!!」
 水銀「陽イオンになれる金属元素は…   私よ!!」
 (硫黄と水銀が結びつき、硫化水銀ができる)
 銀 「ああぁ! ああぁぁぁぁぁ!! 展性、延性もあったのに…
    誘電率ナンバーワンの金属だったのに… ああぁぁ…」
 水銀「ウフフフフフ アハハハハハハハ!」
 銀 「どうして…どうして……… ハードゲイのくせに…」
 水銀「……なんですって?」
 銀 「元素記号Hgの… ハードゲイのくせに」
 水銀「!」
 銀 「ハードゲイ!!」
 水銀「!!うおおおお!!! 銀ー!!」
 (ガスバーナーを止める音)
 銅「何事にも潮時はあるというもの……」
 銀「銅!」
 銀「ナトリウム・カリウムが金属と認められ、カルシウムも金属と認定
   この時代での無機化学の研究は終了しました。
   お楽しみは次の時代に…」
 水銀「何を言っているの? うっ!」
 (二人が垂れ流される)
 水銀「銀!!」
 銀  「くっ…」