207 名前:彼氏いない歴774年[sage] 投稿日:2009/11/10(火) 02:38:02 ID:tuA0nyvp

物心ついた時から一人が当たり前だった。
両親の夫婦仲は冷め、お互い医療関係者で仕事が忙しく家にはほとんどいなかった。
学校では喋らない上に小太りだったこともありいじめられていたでも別に悲しいとは思わない。冷めた子供だと自分で思っていた

小5の夏休みに入った次の日大きな箱を手に祖父がやって来た。箱を開けて驚いた、
中には少し大きくなった子犬が入っていた。初めてみるトイカラーのその犬には茶色い眉毛があった
「これはお前の犬だよ」と言った。

父も母もはじめからそのつもりだったようで犬は麿と名付けられ私の犬になった。

学校から帰るとすぐに麿と遊ぶ、本を読み聞かせたり、躾をしたり、麿は私の弟であり、親友だった

そんなある日男子からひどく悪口を言われ小突かれた
家に帰り、尻尾をふる麿をみて気が付くと涙が溢れた、抱きしめ何時間も泣いた、泣き止んでも麿は傍にいて手を舐めてくれた。誰かの前でしか泣けないこともあるんだと知った

それからも麿とはいつも一緒だった。同じベッドでねむり秘密話をしてくすぐりっこしたり、愚痴を言ったり

私が犬を飼っていると知ったいじめっこが「お前みたいなブスに飼われてるなんて世界で一番不幸な犬だな可哀想」といってきた
そのことが気になり健康診断のときに思い切って獣医さんに「飼い主が不細工だと犬は他の犬にバカにされますか?悲しい思いをしますか」と聞いた
獣医さんは驚いて
「そんなことはないよ、絶対。犬が一番悲しいのは大好きな人が悲しんだり悩んだりすることだよ。」
といったあとに
「あとこれは個人的な意見だけど君の犬はとても幸せそうだよ。君ににてとても可愛いしね


208 名前:彼氏いない歴774年[sage] 投稿日:2009/11/10(火) 02:41:05 ID:tuA0nyvp
と言ってくれた、麿は不思議そうにこちらを見ていた

中学になり高校になり、麿も私も年をとった。それなりに友達もでき、家に連れてくると麿はいつも友達に自分のお菓子をわけてくれた、友達は笑い喜んでいた

そしていつのまにか医者になるはずだった私は獣医学部に入っていた。例の獣医さんの病院でアルバイトもしている。
私が獣医になる頃には麿は生きていないだろう。
勉強で忙しくなるしこれからあまり相手もしてあげられない。だけど私はペットという家族に恩返しがしたい
きっとそういったら麿はまた手を舐めてくれるだろう


長文失礼しました