412 名前:世界@名無史さん[sage] 投稿日:2007/12/26(水) 23:48:04 0
ドイツ・オーストリア・ロシアそしてポーランドの外交官が晩餐会に臨んでいた
ドイツの外交官がポーランドの外交官に説教を垂れる
「外交術の神髄は、畢竟人に先んずることにあります。
 例えば本日のディナーの最後に、果物のパイが振舞われるとしましょう
 座して四者均等分を待つ、これは全く凡夫の手でありますな
 遣り手ならば、予め厨房でパイの中央1/4をせしめるべく、暗躍するものです
 そう、実も多く美味いパイのど真ん中を、事前に確保するわけです
 他の三者はそれとも知らず、空蝉のパイを律儀に等分しにかかるはず
 ならば貴方は、さも遠慮深い風を装いつ『本日のディナーは実に結構。満腹故デザートは辞退申し上げる』と
 無欲を装っていればよろしい。実利と名望の両得。これぞ外交の精華と言えましょう」
ポーランドの外交官は大いに得心すると共に、口の軽いドイツ人を心底嘲笑いつつ、厨房へ向かったのである

1795年10月24日 ポーランドは世界地図の上から消滅した
普・墺・露・波の四者会談において、何が語られたかは定かではない

ただ、当日の晩餐会のデザートに、ドイツ公使持参のバウムクーヘンが振舞われたことだけが知られている