809 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2010/05/27(木) 02:08:19 ID:YjAD3lcs
こないだテレビで火事場の馬鹿力やってるの観て思い出したんだけど。

数年前に務めていた会社で抜き打ちの避難訓練を行う事に。
俺含む数名にだけ、裏方として段取りが伝えられ、決行。

煙幕焚いただけで、冷静に考えれば不自然な点ばかりな火事だが、裏方が騒ぎ立てるのに
一部の女性社員がヒステリーを起こし、パニックが拡大。
我先に逃げ出す中、一部の裏方は後始末の為に社屋に残る手筈。

煙幕のカスやらを回収に向かう途中、事情を知らない社員(以下A)と出くわした。
寸での所で気配に気付いた俺は、まだネタバラシもされてないのでとりあえず倒れこんでおいた。
Aは倒れた俺を見つけるや「救護者!要救護者発見!誰かいないか!?」と周りに叫ぶ。
しかし殆どは逃げ出した後で周囲に手伝ってくれそうな人はいない。
Aの切り替えは瞬時で、俺を担ぐと「すぐ出られるから!大丈夫だから!」とそのまま出口に向かって
連れて行ってくれた。

不幸な事に、途中でまたも別の裏方と鉢合わせてしまった。
俺を大声で励ましながら歩いてたので、先方も先に勘付いたのだろう、俺と同じく倒れ伏していた。
「あそこにも!」Aは俺を担いだまま、しかしもう一人にどう対応するか暫く思案していた。
俺は今気付いたかの如く振舞いつつ、「良いから先に行け」と、Aに脱出を促した。
正直、片付けもあるからおいてってくれて構わないと思ってたのもある。
しかしAは、「途中で投げ出すなら、始めから助けるものか!二人とも外に連れて行く!」と、
何と成人男性およそ70kgを両脇にそれぞれ抱え込んで出口まで連れ出してしまった。

別にガタイが特にいいというわけでもないのに、まして自分の命も危機に晒される中、
こうした行動が取れる事に、俺ともう一人の裏方は偉く感動してしまった。

ちなみに。
この訓練のせいで近隣にも騒ぎが伝播して迷惑をかけた事、非常時の人間性を垣間見た為か、
その後の職場の空気が微妙になった事等、しこりを残す結果となってしまった。