130 名前:名無しのオプ[sage] 投稿日:2010/02/04(木) 20:59:50 ID:qTNn1k+t
「一体、どうすればいいんだ」
私は死体の隠し場所に頭を悩ませていた。
あと三十分もすれば人がここに来ることになっていた。
それまでにこの問題を解決しなければなるまい。

タンスやクローゼット?残念ながらそんなものは存在しない。
むしろ、そんなものがあるのならこの私が逃げ込みたい程だ。
だが、そんな事をすれば辛酸の思いを経て生み出した私のアリバイトリックが全て無駄になってしまう。
外に運び出す時間はない。けれども、死体を部屋から消し去ってしまわなければならない。

 ドンドン
扉が叩かれた。ビクリと肩を揺らし私は玄関を振り返る。
予想よりも早い。だが、彼女に限って言えばそれは決して珍しいことではなかった。
「私です。居ないんですかー」
彼女の明るくほがらかな声が、ヒステリー女の金切り声に変わることを私は知っている。
そして、地獄よりも苦しい追い込みを味あわされるのだ。
だが、それももう仕方ない。タイムリミットはとうに過ぎていた。
私は腹を括ると大声で叫んだ。


「原稿ならまだ出来てないぞ!」