496 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2010/07/20(火) 01:52:15 ID:Fbf6rP4H
「男の人の乳首って何の意味があるの?」

長いこと乳首の権威としての名声を保っていると良くそんな疑問を訴えられるが、
その疑問を投げかけてくるのは100%女性である。
乳首の存在意義は女性が赤子に母乳を与えるためにあるという既成概念に囚われていれば、
その考えもやむなしとうなずける。

「女であった時の名残りだ」と決め付けるのはうぶな女性だけだ。
全ての男性と大人の女性ならば知っている事実をここで言おう。
男性の乳首はビームを出すためにある。しかもそれは一生に一度しか打てない。

また、たいした威力もないのでほぼ意味は無い。
大体の男性が中2くらいで友達とふざけている時に出してしまう。
僕は小学校4年生の帰り道に誰も見ていないところで好奇心に負けて出してしまった。
綺麗な2色の細いビームが出て、塀に当たってはじけた。

僕が最も印象に残っているビームは、祖父のものだ。
僕が大学を卒業し、就職し、家を出てから2度目の秋に、祖父が倒れた。
祖父は朴念仁の大正男で、限界まで自分の体のことを家族に明かさなかった。


497 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2010/07/20(火) 01:53:01 ID:Fbf6rP4H
僕が実家に戻ると、あんなに厳しく大きかった祖父は一回り小さくなっていた。
「最期は家の畳の上で。」そう言った祖父の周りには、医者と、父、母、姉、僕。
そして枕元には祖母が、ずっと祖父の手を握っていた。

医者が祖父を診断し、「もう・・・」と父に耳打ちをし、父は小さく頷いた。
祖父が視線を送り、祖母が微笑んで頷く。「すぐに、追いかけますから。」
祖母の言葉に祖父は頷き、最期に家族が一度も聞いたことがない言葉を口にした。


「ありがとう。」

平静を装っていた父も、うなだれて嗚咽を漏らした。僕も、声を上げて泣いた。
ああ、これが本当に最期なんだ。そう思うと、止まらなかった。母も、姉も、祖母も。
みんなで泣いた。くしゃくしゃの祖母の目のしわを伝ったひとしずくが、祖父の
手の甲に落ちた。その瞬間だった。

祖父の乳首から光が溢れ、屋根を突き破って天空高くへと7色のビームが打ち上げられた。
父と僕はその余りの威力と美しさに、あっけに取られて天井に開いた穴から夜空を見上げていた。
祖母が微笑み、つぶやく。


「真面目な人やったから・・・」

祖父の死顔は、安らかだった。