814 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 23:43:58 ID:k+QIANcy
江戸城禁煙令


父親の影響か、徳川秀忠もかなりの健康マニアであったようだ。ただ、父親と違うのは、
家康は案外、他人の嗜好には立ち入らない人間だったが、秀忠はそうではない。
自分が良いと思うことは、満面の善意で、人にも勧める人間である。

そんなわけで江戸城内に、こんな命令が出された

『喫煙厳禁!』

当時既にタバコは、世の中にかなり広まっていた。
当然徳川家中にも、である。ニコチン中毒者がこういう時考える事。それは禁煙!
ではない。
当然、「隠れて吸う」である。

そんなわけで江戸城内の御番衆の湯飲み所は、いつのまにやら秘密の喫煙室と化していた。

さて、ニコチン患者達が今日も安らかにタバコを吸っていると、そこにひょっこり顔を出した人間がいた。

「よっ?なにやってんの?」

老中、土井利勝であった。
一同驚愕、大慌てで各々とっさにタバコ道具を隠す。なかにはキセルでやけどする人間までいる
有様であった。
しかし利勝騒がず、部屋の中に着座し、

「そなた達が今吸ってたもの、私にも振舞ってくだされ。」

などと言い出した。一同すっかり困り果てたが、何度も所望するのでしかたなく、
袖の中やひょうたんに隠したタバコやキセルを出し、利勝に差し出した。

彼はこれを二三服吸うと

「思いもかけず珍しいものを頂いた。ありがとう!」

そういって帰ろうとした、と、そこで振り向き、

「今日のことは私も一緒だから当然誰にも言わないけど、私に見つかるくらいだからここは危ないぞ。
上様がお嫌いなものなんだから、五月蝿いのに見つからないうちに、な。」


そこでこれ以降、湯飲み所での喫煙はピタリと無くなった、とのことである。