355 名前:名無しのオプ[] 投稿日:2010/10/22(金) 11:13:47 ID:TAWiDljx
古い話だ。
わたしは同じ幼稚園に通う女の子に一目惚れをした。
とてもかわいらしい子だった。
一緒に歌を歌ったり、お遊戯をしたり、お弁当を食べたり。
とても楽しい時間だった。
お昼寝の時間には、その子の寝顔をずっと見つめていたこともあったほどだ。
やがて卒園の日が来て、これからは私立の小学校へ通うことになるのだという彼女に、わたしは思い切って告白をした。
「大きくなったら、ボクのお嫁さんになって」
真剣だった。本気のプロポーズ。
しかし、彼女は首を横に振った。「いやよ」
わたしはフラれてしまったのだった。
そしてそれ以来、二度と彼女に会うことはなかった――。
――ジィジ〜
孫に呼ばれて、わたしは目を覚ました。どうやらウトウトしていたらしく、夢を見ていたようだ。遠い昔の思い出。
今日は一月十日。わたしの誕生日だ。
今年はちょうど成人の日と重なって休日となり、子供たちが孫を連れて、還暦になるわたしを祝いに来てくれたのだ。
赤いちゃんちゃんこを無理やり着させて、似合う似合う、などとからかい半分に写真を撮っている。
ふと、彼女は今頃どうしているだろうか、と思った。
彼女もまた、今日は奇麗な振袖を着ていることだろう。
今年彼女は、成人式を迎えているはずなのだ。
古い話だ。
わたしは同じ幼稚園に通う女の子に一目惚れをした。
とてもかわいらしい子だった。
一緒に歌を歌ったり、お遊戯をしたり、お弁当を食べたり。
とても楽しい時間だった。
お昼寝の時間には、その子の寝顔をずっと見つめていたこともあったほどだ。
やがて卒園の日が来て、これからは私立の小学校へ通うことになるのだという彼女に、わたしは思い切って告白をした。
「大きくなったら、ボクのお嫁さんになって」
真剣だった。本気のプロポーズ。
しかし、彼女は首を横に振った。「いやよ」
わたしはフラれてしまったのだった。
そしてそれ以来、二度と彼女に会うことはなかった――。
――ジィジ〜
孫に呼ばれて、わたしは目を覚ました。どうやらウトウトしていたらしく、夢を見ていたようだ。遠い昔の思い出。
今日は一月十日。わたしの誕生日だ。
今年はちょうど成人の日と重なって休日となり、子供たちが孫を連れて、還暦になるわたしを祝いに来てくれたのだ。
赤いちゃんちゃんこを無理やり着させて、似合う似合う、などとからかい半分に写真を撮っている。
ふと、彼女は今頃どうしているだろうか、と思った。
彼女もまた、今日は奇麗な振袖を着ていることだろう。
今年彼女は、成人式を迎えているはずなのだ。