341 名前：その1(catv?)[] 投稿日：2011/08/17(水) 23:02:57.81 ID:whXLI2dvi
スーパーの閉店まであと２時間・・・頃合いだ。
『ハンター』達が惣菜売り場からやや離れた位置に己のポジションを決める。
慌ててはいけない。あくまでさりげなく、店員に『買う気』を察知されないよう・・・。
店側も商売である。買う気のある客がいるのにおいそれと半額シールは貼ってくれない。
しばらくして半額シールを持った店員が惣菜売り場に近づいてきた。
ハンター達に緊張が走る、シールが貼られると同時に獲物を奪取できるよう各自がスタンバイする。


342 名前：その2(catv?)[] 投稿日：2011/08/17(水) 23:04:17.24 ID:whXLI2dvi
が、その時だった。一人の中年女がすでに棚に無い筈の上ロースカツ弁当を手に店員に近づいた。
「あ、これにシール貼って。」
私の近くにいたハンターの一人が小さく舌打ちした。『キーパー』である。
目 当ての惣菜をあらかじめカゴにキープしておき、半額シールが貼られ始めたら、
それにシールを貼ってもらうのである。しかし、この行為は暗黙の了解として、
我々ハンター達は禁止となっている。もちろん破っても制裁などは無い。
しかしキープ行為を皆がやってしまうと惣菜がすべて無くなり、惣菜が無ければ
半額シールが貼られることもないのだ。
我々が皆キープせず、自重することでシールは貼られるのである。
そしてまた別の理由がこれだ。


345 名前：その3(catv?)[] 投稿日：2011/08/17(水) 23:05:29.17 ID:whXLI2dvi
店員は差し出された上ロースカツ弁当をチラッと見てニッコリと笑った。
「すみません、お客様。原則カゴに入れらているものは半額にはできないんです。
売り場にお戻しくださればいずれ貼らせていただきますので、
申し訳御座いませんが今暫くお待ち下さい。」
そう言うと店員はシールを貼ることなくまた店の奥に引っ込んでしまった。

前述したように店側は買う気のある客がいれば、半額シールを貼ることは無い。
一円でも高く売りたい店側にとって半額シールを貼ることは利益を自ら下げることだからだ。


347 名前：その4(catv?)[] 投稿日：2011/08/17(水) 23:06:27.63 ID:whXLI2dvi
取り残されたキーパー女は渋々と上ロースカツ弁当を売り場に戻す。
その瞬間、私の近くで舌打ちしたハンターがいつの間にかキーパー女の背後に立ち、
戻された上ロースカツ弁当をサッと手に取るとスタスタとレジに向かって行った。
もうこれ以上待てない事情があるのか、シール貼りを遅らせたキーパー女への細やかな復讐なのか、
残されたキーパー女はロースカツ弁当があった場所を悲しそうに見つめた後、何処かに消えて行った。
キーパー女が消え、五分、十分、と時間が過ぎて行く。十五分経った頃であろうか、再び店員が半額シールを手に惣菜売り場に近づいてきた。
ハンター達が再びポジションにつく。さりげなくあくまで紳士的に・・・
本当の戦いはこれから始まるのだ。